もし自分の所有している私有地、例えば個人所有のアパートの敷地内や月極駐車場、より広く考えるのであれば一般的な商業施設や公共施設、駐輪場などに勝手に置き去りにされてしまっている”放置バイク”。
私有地などに勝手に長期間置かれているとなれば、あまり気分の良いものではありませんよね…。
では、このような長期間に渡って”放置されてしまっているバイク”を、その私有地の所有者や管理者が勝手に処分してしまっても、果たして問題はないのでしょうか?
結論から言いますと、民法の条文に規定はありませんが、『自力救済の禁止』を原則としている我が国において、”勝手に処分してしまう行為”はバイク所有者からバイク等の所有権を侵害されたとして損害賠償請求をされるリスクがあります。
しかしながら、私有地に勝手にバイクなどが放置されているような場合には、逆に当該私有地の”所有権を侵害している”ことになるため、私有地の所有者は妨害排除請求として放置バイク等の排除、また賃料相当額の損害賠償をバイク等の所有者に請求することができます。
しかし、現実的にはこのようないわゆる”放置状態”のバイクや車などは、”止めたもの勝ち”との印象が強いのではないかな…と思ってしまいます。
ではその”放置バイク”ですが、実は全てにおいて同じパターンで対処できるということではなく、そのバイクの”状態・状況”によっても解釈・対応が変わってくると言えます。
具体的には下記の3パターンに分かれると言えるでしょう。
①所有者が意としてその場所に”置いている”場合
②所有者が分からずその場所に”放置されている(捨てられている)”場合
③所有者の意とせず”所有者の占有を離れてしまっている”場合(盗難)
例えば一定期間、そのままの状態で”バイクが放置”されている場合、上記のどのパターンかを見極めて対処する必要があります。
①所有者が意としてその場所に”置いている”場合
こちらの事例については所有者が意としてその場所に置いているので、実は一番悪質と言えるかもしれません。
例えるのであれば、”引越した際に、所有しているバイクを持っていくことも出来ず、とりあえず今まで住んでいたマンションの駐輪場に置かせてもらっておこう”などと自分勝手に考えて放置している場合などがあげられます。
その物件に住んでいるのであれば駐輪場に置くことは契約上問題はないでしょうが、退去して契約解除となっている場合には明らかに不法に”放置された”バイクとなることでしょう。
このような自分勝手な理由でバイクを”放置”されている場合でも、マンションの所有者や管理会社、また自治会などが勝手に処分してしまうと『自力救済の禁止』の原則から、バイク所有者に所有権を侵害されたとして損害賠償請求をされる可能性があるということになります。
ではそのマンションの所有者や管理会社、自治会はどのように対応するべきでしょうか?
最初から弁護士などの専門家に相談する方法もありますが、まずは最寄りの警察に相談するべきかと思います。
やはり”盗難”などの犯罪が絡んでいる場合もありますので、ナンバーや車体番号から”盗難車の照会”が必須となり、さらに所有者がいるかどうかの確認が必要となります。
警察にて”盗難車ではない”ということが確認できたものの、警察でも所有者の確認が出来ないとのことであれば、次に行政などに連絡をして、所有者の確認について相談する必要があります。
その放置バイクが125cc以下の原付などで、所有者がいる場合であれば市区町村の窓口から所有者に対して移動の警告を行うことも可能となります。
このように、”所有者が確認できた放置バイク”については、所有者と直接交渉して撤去を進めるとの流れになります。
しかし、それでも撤去されない場合には既に記している通り、妨害排除請求による放置バイク等の排除、賃料相当額の損害賠償請求を行うことも検討しなければなりません。
一方、警察又は行政などで”所有者が確認できたが所在が不明”という”場合については下記2通りの対処が可能となります。
まず一つ目の方法として、”所在不明の所有者”を相手方として「妨害排除請求訴訟」と「賃料相当額の損害賠償請求訴訟」を簡易裁判所に提起し、判決を受けた事実をもって撤去する方法です。
この手続きには当然裁判費用などが掛かってきますし、法律などの専門的な知識が必要となるため、まずは無料で利用できる『法テラス』などで弁護士に相談してみるのが良いかと思います。
また上記とは別に、『民法第239条無主物の帰属(無主物の占有)』として土地所有者等が放置されたバイクなどの所有権を取得したこととして、撤去、廃棄処分することが可能となる方法があげられます。
こちらの方法については、後述する「②所有者が分からずその場所に”放置されている(捨てられている)”場合」の考え方と同様に、その放置されたバイクについて”は所有者の所在が不明”という事実に基づき『所有権が放棄された動産』とみなすことを法的な根拠としています。
したがって、「確認できたが所在不明のため対応できなかった」 場合にも適用することができるということになります。
この手続きについては、期限を定めて告知の張り紙掲示し、当該バイクの撤去、廃棄、処分の意思表示を行うとともに、その期間中に掲示したことを証明する現場の写真撮影、保存が必須となります。
こちらの方法にについても専門的な知識が必要となりますので、上記の『法テラス』など弁護士に相談してみる必要があるかと思います。
②所有者が分からずその場所に”放置されている(捨てられている)”場合
こちらの事例を簡単に例えてみると、”盗難されたバイクが自分の敷地に乗り捨てられている”といった場合が該当するかと思います。
バイクのナンバーが外されており、更に車体番号が削られてしまっているような所有者を調べようにも調べられない状態のバイクなどについては『所有権が放棄された動産』とみなすことができます。
もちろん上記の①と同様に、まずは警察に相談し”盗難照会”を依頼することによって放置バイクが検証され、事件性や所有者などを確認する必要があります。
しかし警察でもナンバーが外され、更に車体番号が削られてしまっているようなバイクについては、盗難照会はおろか所有者確認などもできないバイクとなり”無主物”として判断がなされることかと思います。
その後は、①と同様に貼り紙による告知、現場の写真撮影・保存の過程を経たのちに『無主物の帰属(無主物の占有)』としてそのバイクの所有権を取得し、撤去、廃棄処分することが可能となります。
③所有者の意とせず”所有者の占有を離れてしまっている”場合(盗難)
こちらの事例は単純に”盗難されたバイク”が放置されているということになります。
したがって、警察に”盗難照会”を依頼し、その放置されたバイクが”盗難車”と判明すれば、そのまま警察が引取りを行って所有者に返還されることとなります。
以上、”放置バイク”の3パターンについて簡単な事例と対処方法を記載させていただきました。
いずれにしても、『私有地に置き去りにされた”放置バイク”は勝手に処分しても大丈夫』ではありません。
”所有者の権利(所有権)”という法律が絡んできますので、自身にリスクがあること理解して対処していかなければなりません。
『私有地』に置き去りにされた”放置バイク”を発見したら、まずは警察に相談し、必要であれば”弁護士”や我々”バイクリサイクルジャパン”のような回収・引き取り業者に相談するなど慎重な判断・対応が必要となります。
我々”バイクリサイクルジャパン”は”私有地の放置バイク撤去”も無料で対応させていただいておりますので、お困りの際にはぜひ一度にお問合せくださいませ。